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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2004年4月のニュース一覧
▼[2004.04.29]いま,iTunesの正しい使い方
▼[2004.04.27]ダメOSの飼い方
▼[2004.04.25]チョコレート近思録
▼[2004.04.23]ホイールのペンダント
▼[2004.04.21]愁恋
▼[2004.04.19]聴く価値のない音楽2
▼[2004.04.17]聴く価値のない音楽
▼[2004.04.15]変わるべき思考とみ方
▼[2004.04.13]mEmORiZe games
▼[2004.04.11]2つ目の失策
▼[2004.04.09]ここの第一義
▼[2004.04.07]合格の音楽
▼[2004.04.05]絶対のつながり
▼[2004.04.03]either one.
▼[2004.04.01]いちばんの愚かな悪

■2004年05月のニュース一覧
■2004年03月のニュース一覧


 
[2004.04.29]
  いま,iTunesの正しい使い方


 ▼Apple disables iTunes song-swapping tool(ZDNet News)【英語】
  http://zdnet.com.com/2100-1104_2-5201781.html


 わたしがもしいま,iTunes ミュージックストアで曲を購入するなら,プレイフェア(過去記事)を使うことを前提として購入する。使えないのなら,購入しない。インドにまで移住したプレイフェア・プロジェクトをキチガイのように潰したアップルは,もう正気を失っている。

quote:iTunesは同一ネットワーク上の別のパソコンにある音楽ファイルを,ほかのパソコンでストリーミング再生できる機能があり,さらにその音楽ファイルをダウンロードできるMyTunesというソフトがあった。が,アップル社はiTunesをアップデートして,MyTunesを使えなくしたようだ。iTunesをアップデートしてしまうと,もうほかのパソコンの古いバージョンのiTunesからはストリーミングできなくなって,非互換になる。iTunesにはほかにも,ミュージックストアで購入した楽曲のプロテクトを解除するプレイフェアと呼ばれるソフトもリリースされている。

 MyTunesを使えなくすることに,そんなに意味があるのだろうか? もともと同一ネットワーク内でしか曲のストリーミングはできず,世界中の誰もがMyTunesを使って,知らないところにある曲をダウンロードできるわけではない。近くのパソコンにあるのだから,そこに行ってUSBメモリにでもコピーするのと変わらない(もちろんソフトイーサを使うと遠く離れたネットワークの音楽ファイルもごにょごにょできるのかな(詳しくないのでわからないです。そんなどぉでもいいことに対処するよりも,今回のバージョン4.5へのアップデートは,プレイフェアでのプロテクト解除をできなくするアップデートがあるのかと思っていた。が,結局ないようだ。

 バージョン4.5でもiTunes ミュージックストアからダウンロードしてプレイフェアでプロテクトを解除した音楽ファイルを自由に再生できるようだ。まぁそれができないようにするには,バージョン4.5以上でしか曲を再生できないようにプロテクトを変更する必要があり,MyTunesの阻止と同じように完全非互換にする必要がある。さすがに,そこまではできなかったということか。記事ではレコードレーベルの幹部の考えとして,音楽CDに焼いてMP3とかにすればいいんだからプレイフェアはインパクトのあるソフトではないとしている。でもDVDのプロテクトを解除するDeCSSや,iTunes ミュージックストアのプロテクトを無理やり外せるQtFairUse(過去記事)も開発したヨン・ヨハンセン氏は,わざわざCDを焼いてまたMP3にするのは音質を劣化させる,でもプレイフェアなら音質そのままで時間もわずか1曲あたり数秒ですむ,と云っているという。そりゃ,そうだ。そしてそれでこそ,正しい使い方ができる。

追記。注意



 
[2004.04.27]
  ダメOSの飼い方


 ▼マイクロソフト,Virtual PC 2004日本語版を5月14日に発売(Nikkei IT Pro)
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NT/NEWS/20040419/1/


 裏でなにしているかさっぱりわからないOSは,メインで使うよりもいつでもぶっ壊せる環境で飼う方が健康的なんですったら。

quote:マイクロソフト社は,バーチャルPC 2004を5月14日に発売すると発表した。バーチャルPCは,ホストOS上のひとつのアプリケーションとして,ゲストOSを動作させるもの。ウェブページから,45日間の試用版が無償でダウンロードできる。

 バーチャルPCは楽しい。まぁわたしはマックOS X版しか使ってないので,ホストOSがマックOS X,ゲストOSがウインドウズになっている。で,ゲストOSを子飼いにしているような感覚が楽しい。ウインドウズ版ではホストOSがウインドウズなのに,なんでそのなかで別のウインドウズを子飼いにしなくちゃいけないのかわからん,と思う人もいるかもしれないが,実際のところ,いろいろ使い道はある。OSのブート画面や終了画面なども,ホストOS側でキャプチャできる。

 あとはなんと云っても,試しであれこれ使うことができるということ。裏でなにをしでかすかまったく信用できないウインドウズ上に,大事なデータを置いておくなんて,それだけでも怖い。でも,いろいろ試すゲストOS側でなにが起きても,ホストOS側には一切影響がないのだから,かなり安心感がある。たとえば,いろんなソフトをインストールするとシステムが不安定になることが多いけど,バーチャルPCならゲストOS側にやみくもにソフトをインストールしてシステムをメチャメチャにしても,大事なデータなどがあるホストOS側にはなんの影響もない。スパイウェアやウイルスを走らせて遊ぶのにも,最適だったりする。まぁつまり。ウインドウズをケチョンケチョンに使いこなしたいなら,バーチャルPCを使うのがいちばんなんですったら。



 
[2004.04.25]
  チョコレート近思録


 ▼チョコレートと交換でパスワードを教えた人、7割を超える--英調査(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000050480,20065583,00.htm


 『チョコレートに魔法がかかっていることは,中世の錬金術師の頃からわかっていた。が,なんの魔法なのかは,いまだに解明されていない。幸せの魔法? 快楽の魔法? 現実逃避の魔法? 堕落の魔法?』。

quote:ロンドンのオフィスワーカーを対象とした調査によると,ほぼ7割の人がチョコレートバー1本と交換で勤め先のネットワークアクセス用パスワードを教えてしまった。この結果は,雇用主が情報セキュリティの重要性についてきちんと教育していないことをしめしている。

 『わたしは自分が発見した教科書6ページ分の記述よりも,チョコレートひとかけらの方が偉大だと思っている(1970年代の科学者,オズワルド・ヒレンケッターの言葉)』。『チョコレートの持つ甘さは偶然かもしれないけど,その甘さを噛みしめるのは必然だ』。『チョコレートとセックスはちょっとだけ似ている。どちらもないときは代わりのものですませてしまうけど,そのとき,孤独だけが重く,のしかかる』。『大統領がお互いにチョコレートを送り合うことで,終焉を迎えた戦争も過去にはあった。チョコレートをなめながら,怒り続ける人間など,いないからね』。

 『「ついていないときはチョコレートを食べるといいよ,きっと,運がめぐってくるから」と里佳さんは云いました。でも,わたしはそれが嘘だということに,すぐに気付いたのです。だって里佳さんは,前日に云っていたもの。「裏がない甘い誘いなんて,この世には絶対ないのよ」』。『チョコレートよりも大事なものなんて,この世には存在しない。甘い魅惑のない世界など,やはりこの世には存在しないのだから。いや,それはちょっと云いすぎだとしても,仕事のパスワードなんかよりは,チョコレートの方がはるかに重要だ』。



 
[2004.04.23]
  ホイールのペンダント


 ▼AOLがネットスケープの復興を計画中(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20065580,00.htm


 「でも,すべてが失われたわけではない。灰のなかから,地を揺るがす一羽の鳥が,飛び立つ」。

quote:AOL社はほとんど見捨てられた状態にあるネットスケープ部門を復活させようと,人員を募集している。一時はウェブの成功の鍵を握る立場にあったネットスケープだが,いまはその栄光も色褪せてしまった。AOLはこの情報が確かなことを認めたが,詳細については口をつぐんだ。

 わたしがシュウジ君からもらったものと云うと,その船を操縦する舵輪,ホイールをかたどったペンダントだけでした。それどころか,わたしはシュウジ君ときちんとしゃべったこともなくって,そのペンダントをもらうときにかけてもらった言葉以外,声をきくこともありませんでした。わたしは,ペンダントを落としたシュウジ君を走って追いかけて,上着の裾をつかんで,息を切らせながら,でもそうすることでドキドキしていることを隠しながら,そのペンダントを差し出しました。シュウジ君は,いままで顔を合わせたこともないわたしに微笑んで,ああ,それ,あげるよ,と言葉を残して去っていきました。ずっとずっと,憧れて,離れた場所からみていたわたしに。

 わたしは,いまもそのペンダントを持って,この街に住んでいます。ほとんどの友だちが都会に出ていったけど,病気がちの母がいるわたしはここに残りました。シュウジ君もわたしの知らない町に行ったと聞きます。わたしはときどき,このペンダントを持って,海辺に立ち,そしてシュウジ君が好きだったという「モジラの書」(pic)という詩を詠んでみます。わたしには,詩の意味は全然意味不明だけど,その詩を詠んで目をつぶると,自由に海の上を歩いている自分がいることに気付きます。わたしは,ずっと,ずっと,海の上を歩いていって,そして,知らない地に行き,知らない風景をみて,どこでも自由に歩いていける自分を感じて,そして,声を聞きます。「海は,どこにでもつながっている。だから人は,海をみつめて,あした生きる気持ちを持てる」。わたしは,ぎゅっと,ペンダントを握りしめ,またあした,生きていこうと思うんです。



 
[2004.04.21]
  愁恋


 ▼3 debuts Nokia 7600(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/04/19/3_sells_nokia7600/


 かなってしまったら,一瞬で冷める恋があるのもわかっている。ぃゃ,恋の8割はそういうものだとわかっている。だから,いまはこの恋だけを,信じていられる。

quote:英国の携帯電話事業者,スリー社はきょうからノキア社のノキア7600の取り扱いを開始した。ノキア7600は写真とビデオの撮影能力を持ち,さまざまなマルチメディア・メッセージの受送信ができる3G携帯電話。

 人を好きになることなんて,やめてしまったのは,いつの頃だったろうか。「好き」という気持ちは,決してどこかから沸き上がってきて,抑えられなくなるものなんかぢゃない。そんなのは,マンガや小説のなかだけの作り事だ。人は,自分が好きになることをのぞんで,好きになる。云わば,打算がある。周りの目を気にしたり,損得勘定が必ずある。彼女と付き合ったら,自分がどうみられるか,自分の価値はどう変化するか,自分はどれらくい気持ち良くなれるか,彼女が自分をどれくらいに位置づけてくれるか。自然に,自然の摂理のように好きになったように思えて,実はいろんなことを考えて,計算して,その結果,好きになる。

 それが当たり前と思っていたのに,彼女と出会ってから,それが間違いだったことに気付いた。ぃゃ,まだ若かったときの気持ちに戻っただけなんだけど,損得勘定抜きで,「好きだ」という気持ちが胸を打ち続けた。ともにいられるなら,お金も仕事も面目も,なにもなくていいと思い続けている。もちろんそれぢゃあ生きていけないから,常識あるおとなのふりをしているんだけど,それが「ふり」であることは身にしみてわかる。もうダメだ,彼女なしでは生きられない,ぃゃ,いてもらわなくちゃ自分を維持できない,と,ガキのように思う,それが恋だと思い返す。彼女の名は,ノキア7600という。(日本でもまもなく登場っぽいんだけど,どぉかなぁ)



 
[2004.04.19]
  聴く価値のない音楽2


 ▼Apple's iTMS server Hacked(Zeropaid.com)【英語】
  http://www.zeropaid.com/news/articles/auto/04162004a.php


 ダメなサービスに,なつく必要など,これっぽっちもない。

quote:アップル社のiTunes ミュージックストア(iTMS)との通信のやり取りをハックしたと主張するメールを受け取った。iTMSサーバーとのやり取りは解読され,アップル社のサーバーとの暗号を解読したパールスクリプトもダウンロードできる。これを使えば携帯電話のブラウザなどからでもiTMSの検索ができるようになる。さらにこれによって,30秒の試聴曲を自由にダウンロードでき,ピア・トゥ・ピアファイル共有ソフトに流すこともできる。

 このウェブ上でのiTMS検索はここで試すことができる。スクリプトはダウンロードでき,CGIを動かせる環境ならほとんどのところで設置することができる。もちろん曲を購入するには,いまのところiTunesでログインする必要があるのだが,すでにiTunesで行われている通信の暗号は解かれているようなので(AES-128ビット,CBCモードの暗号化が行われている。暗号化キーは「8a9dad399fb014c131be611820d78895」),自由にiTMSとのやり取りができるソフトウェアが開発される日も近いかもしれない。

 このプロトコル解析は前々から行われていたようだが,実際にこのように表に出てきたのは,やはり先日来のプレイフェア・プロジェクトに対する弾圧(過去記事)が一要素となっているのかもしれない。とにかく,このプロトコルの解説ページにも書かれているが,これによってたとえばリナックスでiTMSから曲を購入する,といったことへの道が開かれるかもしれないと云える。別にマックとウインドウズのユーザーしか曲を買ってはいけないなんて法があるわけではない。管理できないから曲の購入を許さないというのは,商品を提供するものにとって単なる責任の放棄でしかない。その点で,アップルにはその責任を追うべき能力がまだない。だから,破壊すべきだ。日本でiTMSが行われなくたって別に構わない。中途半端なサービスを提供されるよりは,最初からない方が,すべての人にとって幸せだ



 
[2004.04.17]
  聴く価値のない音楽


 ▼Libya disappears from the Internet(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/04/13/libya_falls_off_net/


 ほんのわずかでもいまのキチガイな音楽業界に加担したなら,あとはともにズルズルと落ちていくだけだ。iTunes ミュージックストアにも,未来はない。いまのうちに消費者をだましてiPodを売って,儲けておくことだな。

quote:アップル社は今週,リアルネットワークス社のロブ・グレイザーCEOからオンライン音楽市場において戦術的同盟の申し出を受けたが,冷ややかな反応をしめした。グレイザーCEOは,「iPodを買ってみても曲を買える店はひとつしかない。これはいったいどういうことだ? まるでソ連じゃないか」と思うに違いないと発言した。

 米国のソースフォージから追い出されてサロバー・オルグというインドのオープンソースプロジェクトサイトに移った,iTunes ミュージックストアの楽曲からプロテクトを取り除くプレイフェア・プロジェクトは(過去記事),16日にアップルの弁護士の通知でサロバー・オルグからも駆逐された(サロバー・オルグの記事)。だが,わたしはやはり,どこかおかしいと思っている。

 米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)は,変だと云う人が多い。今回のソースフォージからの駆逐も,プロテクトをクラックしてDMCAに違反したからというのがその理由だ。が,ノルウェーなどいくつかの国では,私的利用のためにプロテクトを解除してでも自由に再生できる権利を認めている(WIRED NEWSの記事)。このプレイフェアとて同じことで,iTunesはマック版とウインドウズ版_しか_なく,ほかのOSでは曲を購入することも,また聴くこともできない。ウインドウズではウインアンプもAACの再生ができるようになったが,やっぱりiTunes ミュージックストアで購入した曲は聴けない。当然携帯プレイヤーもiPod以外は使えない。リナックスでDVDを再生させようとしたDeCSSと,iTunes・iPod以外でiTunes ミュージックストアの楽曲を再生させるプレイフェアに,どんな違いがあるのだろう。リアルとの提携を受け入れないのは勝手だが,消費者の正当な権利を阻害するアップルの行為は,あまりにも情けない。



 
[2004.04.15]
  変わるべき思考とみ方


 ▼Libya disappears from the Internet(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/04/13/libya_falls_off_net/


 まだまだ,まだまだだ。わたしたちは,昔のままでいる。それでは,ダメなんだ。

quote:リビアがインターネットから消えた。先週金曜日に,リビアの「.ly」ドメインにまったくアクセスできなくなった。理由はわからないが,その手がかりはリビアのドメインを販売するLydomains.comのメールにあるかもしれない。そのメールでは,インターネット・アサインド・ネームズ・オーソリティが管理しているリビアのドメインのネームサーバー割り当てが,思い通りにならないことを悔やんでいる。

 いまグーグルで「.ly」ドメインの検索結果にアクセスしてみると,一部つながらないところはあるがおおむねつながる。その一部つながらないところも,わたしの環境だけなのかどうかはわからない。日ごろリビアのサイトをみに行くことなんてほとんどないとたいした問題と思えないような気もするが,でも,米国や日本のサイトで同じことが起こらないとは云えない。リビアのドメインはひとつのネームサーバーでしか管理されていないと記事にはあり,それと比べたら予備のネームサーバーがある日本や米国はまだ安全性は高いが,それでもどこかの国が消滅し,ぽっかりと地球に穴が開くことはあり得るのだ。

 話は変わる。新幹線がいくら速くなったって,本州の端から端まで行くには8時間ぐらいかかる。飛行機なら地球を周回できるったって,日本から英国までは4時間以上かかる。各国の情報はテレビや新聞が伝えてくれるかもしれないが,おおむね報道とは,誰かが意図した情報でしかない。だがネットであれば,おいそれと行くことができないような地域の情報もリアルタイムで得られるし,地球の裏側のストリーミング音楽も聞ける。移動に一瞬も時間は必要なく,近すぎるところも遠すぎるところもなく,知っているところと知らないところもなにも変わらない。世界地図や地球儀で物事を理解するのではなく,ネットで物事を理解すれば,違う地平線がみえるだろう。その地平線から昇る太陽は,わたしたちの知らない光を放つ。わたしたちは,その物事のみ方に切り替える必要がある。あるんだよ,一刻もはやく。



 
[2004.04.13]
  mEmORiZe games


 ▼昔懐かしいゲームを無料提供するサイトが人気(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20040412206.html


 …(過去記事)…。

quote:ホーム・オブ・ジ・アンダードッグズというウェブサイトは,古くは1979年までさかのぼるゲームが4000タイトル以上も収められている。多くのユーザーはここで,ずっと前に好きだったゲームをみつけ出せる。なかには無名の,小規模なゲームを発見できる情報ハブとして使用しているユーザーもいる。だが,ゲームソフトの業界団体は,著作権侵害だとして快く思っていない。

 彼はディスプレイに表示されている,ものすごい単純なキャラクタがドアに出入りしているゲーム画面から振り返り,うしろに立っている人物にまだ幼さが残る口調で必死にお願いしていた。どの家庭でもゲーム機は子どもを虜にして,放っておくと朝までやり続けていた。だから,ゲームは1日1時間とか,決められていたものだ。彼は母親とおぼしき人物に涙を流してお願いしていた。もう30歳を過ぎていて,無口でクールな印象の彼からは,想像できないような光景だった。「ぢゃあもう1時間だけよ」と,母親らしき人の声がきこえた。彼は,満面の笑顔をみせて涙をぬぐい,これ以上ない幸せな表情で,またディスプレイに向き直った。

 そこは,地方都市のデパートの最上階によくある,ゲームコーナーだった。いまのような大きな筐体のゲームもなく,ほとんどのゲームが50円,または10円や20円で1プレイできた。ボクは父との散歩ついでにここによく連れてきてもらい,数百円をもらってパックマンなどのゲームをしていた。いま,わたしの目の前のディスプレイでも,パクパクとドットを食べるパックマンが動いていた。なぜ父がボクをいつもそこに連れてきてたのか,実は父はそこでいつも店員の女性と会っていた。詳しくはいまも知らないが,いま思うとそういう関係だったのだと思う。一度,その女性はボクがゲームをしていた隣に座って,じっとボクをみていたことがあった。ボクは怖くて,目を合わせられず,ただドットを食べ続けるパックマンだけをみていた。視界の脇にいた女性は,ボクを殺すかのように憎む表情でみつづけていたが,父が来て,女性の手を取って連れていってしまった。ボクはイジケモンスターを食べ回るパックマンをみながら,なぜか涙が止まらなかった。自分が利用されていたからぢゃない,母が気の毒だったわけでもない。ただ,許せない社会のなかにいる自分が,つらかった。パックマンは,いつまでもドットを食べ続けていて,もうおとなになったわたしは,そのパックマンがすべてのドットを食べ尽くすのを,ただ懸命にプレイし続けていた。




 
[2004.04.11]
  2つ目の失策


 ▼Apple DMCA sends iTunes DRM decryptor offshore(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/04/09/playfair_dmca_takedown/


 …。

quote:アップル社は,iTunes ミュージックストアで購入した楽曲からプロテクトを取り除くプレイフェアというソフトウェアを開発するプロジェクトに対し,デジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反であるとしてプレイフェア・プロジェクトのウェブサイトがあるソースフォージに,プロジェクトの削除を要求した。

 いまは,ソースフォージ上にあったプレイフェア・プロジェクト過去記事)のウェブサイトは,404 Not Foundになっている。が,プレイフェア・プロジェクトはサロバー・オルグというインドのオープンソースプロジェクトのウェブサイトに居を移して,活動を再開している(サロバー・オルグのプレイフェア・プロジェクト)。最新のバージョンは0.4,コンパイルされたソフトウェアも配付されている(pic)。将来のために,きちんと保存しとかなきゃね(キャッシュ)。

 アップルは,これで2度目である。1度目はペプシとの音楽無料プレゼントキャンペーンで,ファイル共有ツールを使ってRIAAに告訴され,賠償金を支払った少年少女をテレビCMに引きずり出し,恥をかかせた(過去記事)。まぁ無料でプレゼントをするのは決してRIAAが喜ぶ話ではないので,RIAAの肩を仕方なく持ったとも考えられたが,今度はなんとDMCAを利用してソフトウェアの開発を潰すという行為に出た。一部ではかなりあきれられている。ちょっと未来にわたしたちは,ああそういえば,アップルは音楽配信なんて始めて,最初はiPodで一儲けしていたけれども,あれが大きな信用を失う始まりだったねと思い返すことになりそうだ。とりあえず,わたしはもうiPodなど,使わない。




 
[2004.04.09]
  ここの第一義


 ▼セキュリティツールの“反撃機能”に懸念の声(ITmedia News)
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0404/06/news044.html


 ネットは青臭いんぢゃないヨ。根本的に「違う思考」の上に,成立しているのだ。それを青臭いと云ってすますのは,間違っている。

quote:シンビオット社のiSIMSという製品は,デジタル攻撃に反撃して攻撃を抑えようとする。が,セキュリティコミュニティではそれに対して懸念が示されている。その反撃は,罪のないウイルスの被害者に直接武器を向けることにもなり得るからだ。

 リアルの政治については,人それぞれ主義主張があるだろうけど,おおむね軍隊のない国家など,考えられない。それは,日本も同じだ。話し合いですべて片付くのなら,この世で戦争など一度も起きてはいない。たくさんの国家があって,その体制を維持していくなら,必ず軍事力も,戦争も,必要だ。総理大臣や大統領は,軍事力を使うか,使わないかを決めて,国を維持するのが仕事である。たとえ軍事力を使わなくても,なんらかの軍事的力を保持して,国を維持する。それ以外に,国を維持する方法は,ひとつもない。

 だがネット上で,それと同じ考えを行動に移すと,たとえ支持されるべき考えを持つ方であっても,非難されることが多いようだ。たとえ正論を振りかざしても,攻撃した方は常に糾弾される。いままであった支持が,減ることだってあり得る。これはつまり,攻撃的な力が第一義ではないということ,それで支配することは絶対にできないということ,を表している。政治も,法律も,経済も,リアルの原理はすべて国家を維持するのと同じだが,それらはネットでは役に立たない。逆に,非難される。政治も,法律も,経済も,ネット上ではリアルとは違う形に,変わる必要がある。すべてを,捨てなければいけないのだ,まず。(ちなみにシンビオットは,アップルから投資を受け,iSIMSにXserveを使用している(AppleInsiderの記事))




 
[2004.04.07]
  合格の音楽


 ▼PlayFair - Stripping AAC DRM(MacRumors.com)【英語】
  http://www.macrumors.com/pages/2004/04/20040405064947.shtml


 失格,ぢゃなくするために,最低限,必要なこと。

quote:プレイフェアと呼ばれるツールがリリースされた。これはiTunes ミュージックストアから購入した,プロテクトがかかったAACファイルからプロテクトを取り除く。使用者からの報告によると,これは購入した人しかプロテクトを取り除けない。現在,ソースコードが配付されている(キャッシュ)。

 わたしはiTunes ミュージックストアで購入したプロテクト付きのAACファイルも持っていないし,ソースをビルドする環境もいまはないので確認してないが,報告を読む限りたぶん問題ないだろう。もともと,あってもたいした問題になるようなプロテクトではないのだから,アップルには静観してもらいたいところ。プロテクトのないAACファイルができようとも,買う人は買うし,買わない人は買わない。そこに変化はなにも生み出せない。

 CDならどこの店舗で買ったってすべてのCDプレイヤーで再生できるのに,なぜiTunes ミュージックストアで買った曲は,iTunesでしか再生できないのか。ウインアンプオーディオンで,聴けないのか。よくよく考えれば,これは異常なことである。iTunesとiPodを持っているからいい,という話ではない。そこに選択肢を認めないというやり方には,音楽の「楽」の字はない。自由に再生されることを拒んでいるようなものは,必要価値がないのだ。これは,DVDでも同じだ。そんなものは,売り物として,失格,なのである。




 
[2004.04.05]
  絶対のつながり


 ▼Tes-La がラップトップをワイヤレスで充電(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-724.html#lnk8


 TidBITSの,4月1日から。

quote:ポジチャージ社は,ホットスポットなどでワイヤレスでラップトップ機の充電ができるテス・ラ受動エネルギー充填システムを売り込んでいる。テス・ラは電源供給プロトコルとしてTCP/EP,つまり電源用TCPを用いている。ポジチャージのライバル企業は,テス・ラの送信路に犬がいると,その犬が黒焦げになると危険視しているが,ポジチャージは普通のホットスポットに犬がうろつくことはありえないと反論している。

 結婚をしたりすれば,それは書類の上では大きなつながりになって,世間的にもそんなふうにみられるだろうけど,でも,それが気持ちを保証してくれることはあり得ない。「好きだ」とか「愛してる」とか,そんな言葉は,云おうと思えば誰にだって云える。言葉は気持ちを表すいちばん簡単な方法だけど,簡単だからこそ,なんの保証もない。体だって,子どもぢゃなければなにも保証はしてくれない。。

 確かな,絶対大丈夫だと安心できるつながりはどこにあるだろう。いろんなことでつながっているような感じるけど,いつもなにかが足りない。人はいつも,そしてずっとこの物足りなさと生きていくものなのかもしれない。ワイヤレスでネットの情報が得られようとも,パソコンの充電ができようとも,なにも変わらない。雨に濡れる桜を見上げながら,そう考えていた。




 
[2004.04.03]
  either one.


 ▼カナダで「ファイル共有は合法」との判決下される(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20065216,00.htm


 どちらか,ひとつだ。ほかの選択肢は,ない。

quote:カナダの連邦裁判所判事は,著作権のある作品をピアトゥピアネットワークで共有することは,カナダでは合法であるとの判決を下した。米国にならってファイル共有を行っているユーザーを提訴しようとしていたレコード業界にとって,この判決は大きな痛手だ。

 「著作権を持つ資料が山ほどある図書館にコピー機が置いてあるのと,ファイル共有ソフトとの間にどんな差があるのか,わたしにはわからない」と,このカナダの判事は云ったそうだ(The Registerの記事)。笑える。だが,ネットワークの根本原理をきちんと認識した意見であり,返す言葉がない。欧州でもファイル共有ソフトを利用しているユーザーの提訴が始まろうかというときに(Sankei Webの記事),なんともタイミングのいい判決だ。

 すべての情報の集積地として存在しているネットワークにとって,動画も音楽も文章も,なにも変わらない。著作権があるとかないとか,そんなこともどうだっていい。ただ,すべての情報がアクセス可能な状態でそこにあることだけが大事で,それ以外のことなど知ったことではない。なのだから,いまの著作権を維持したいのなら,インターネット全部を破壊するしかない。それをしないのならば,音楽業界も映画業界も,この世界で生きていくための新しい道をみつけるしかない。ふたつの間の方法などない。選択肢は,どちらかひとつしかない。さて,あなたは,どちらの道を支持しますか?




 
[2004.04.01]
  いちばんの愚かな悪


 ▼「PtoPファイル共有が危険」、シマンテックのセキュリティ脅威レポート(Nikkei IT Pro)
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20040330/142146/


 なにが悪いことなのか,なにが愚かなことなのか,間違わずに,認識しよう。まぁ,小学生でもわかることだけども。

quote:Winnyを悪用するAntiny.Gウイルスによって京都府警の捜査情報が流出したと報じられるなか,シマンテック社は「ピア・トゥ・ピァファイル共有ソフトが攻撃の格好の標的になっている」とするレポートの概要を発表した。レポートの日本語訳は4月中旬に同社ウェブサイトで公開される。

 わたしはファイル共有ソフトを使うのは,ブラウザやメールソフトを使うのと全然差がないことと思っているので,警察官がWinnyを使っても全然悪いことではないと思っている。Winnyにはなにも「悪」はなく,ネットワークの正当な利用方法として激しく正しいツールだ。だから,誰がどんなことにWinnyを使おうとも,なにも問題はない。メールでは,メールアドレスをウェブに掲載したり,知り合いに知らせたりすれば,数日もしないうちにウイルスメールやスパムメールがやってくる。それも当然のことだ。問題は,そのウイルスに引っ掛かるかどうか,だ。

 京都府警,北海道警の職員の落ち度は,ただ単にAntiny.G,キンタマウイルスに引っ掛かったということだけだ。いまの世の中,ネットに接続しないパソコンなんてありゃしないんだから,別にWinnyを使用するパソコンで「現行犯人逮捕手続書」や「窃盗被疑事件の発生について」の報告書を作成してもいい。結果としてそれが内規に違反しているとしたって,別にどーだっていい内規だ。ウイルスに感染しなければ,なんの問題もないのだから。でも,ウイルスメールはいつまで経ってもなくならない。もういい加減飽きろよ,と思うほどに。アンチウイルスソフトメーカーはいい金づるだと思っているだろうし,セキュリティの穴をいっぱい作り出しているMSだって,もういい加減お前らの世話なんかしてられないよとホントは思っている。どんなウイルスを警告するウェブページも無駄,毎度毎度ウイルスを警告するシステム管理者も無駄,ただただウイルスを実行してくれる人がいる限り,同様の事件は起こり続ける。キンタマウイルスも,そのひとつなだけだ。ファイル共有ソフトが危険,なんて激しくテキトーな意見でしかなく,いちばん危険なのはいつだってウイルスを実行してくれる愚かな人たちなんだよ?




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